Amazon Primeで映画みました。
明け方の若者たち
主演は北村匠海。
ヒロインは2022年の朝ドラで主演をつとめる黒島結菜。
大学生が就職して「社会の壁」と「もう若くないという現実の壁」にぶつかります。
そして、あの頃はよかったなーとノスタルジーに浸る話です。
よくある青春映画だろうな。
そんな軽い気持ちで観たのですが、いやー、この映画、心にグサグサ刺さりましたね。
「こんなはずじゃなかった」
あのころ思い描いた人生とは違う。
あの頃はよかった、あの頃に戻りたいな。
そんなふうに思い悩んでいる自分をちょっぴり励ましてくれる。そんな作品でした。
あらすじ
就職をひかえた大学4年生の「僕」は、
「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」
「彼女」からのメールをきっかけに「交際」をはじめる。
やがて社会人になった「僕」は、思い通りにいかない人生に思い悩む。
会社という理不尽な組織。
凡庸な毎日の繰り返し。
夢見た人生と異なる現実。
そして、わかってたことだけど、その日はやってくる・・。
見どころ
30歳、40歳そして50歳と歳を重ねるにつれて、「人生、こんなはずじゃなかった」と感じる瞬間ってありますよね?
あのころ、若かった自分の前には無数の道があって、まばゆく輝いた未来へ自分を連れていってくれるはずだったのに、歩いても歩いても、理想とはかけ離れていく。
気がつけば、理想の人生がどんなふうであったかさえ忘れてしまい、今いる場所すらわからなくなっている。
長く社会人をしていれば、ふと、そんなことを思ったりもします。
この作品、そんな心の隙間を埋めてはくれませんが、劇中の細かな台詞やエピソードが具体的で、共感ポイントが多いんです。
「俺にもこんなときがあったなー」なんて、
優しい気持ちになっていきます。
道といえば作品のなかの劇中劇として、こんな言葉がでてきます。
昨日も同じ道を歩いてた。
おとといだって、その前だって。
何日も何ヶ月も何年も。わたしはこの道を行ったり来たり。
ほかに幾らでも道は広がっているのに。
この言葉、胸に刺さりましたね。
人はいま歩いている道しか見えません。
途中に標識があるわけでもなく、どこに交差点があるかも、どこにバイパスがあるかもわからないのです。
引き返すことはできず、ひたすら歩きつづけるのです。
せつない。。
ところで主演の北村匠海さん。
CMや映画「君の膵臓を食べたい」をみてて思ってたんですけど、北村さんって、ナイーブだけど負けず嫌い、純粋でいい人そうだけどバカではない、そんな奥行きのある、どこか謎めいた青年の役が本当にうまいですよね。
今回の役もぴったりでした。
10年前だったら松山ケンイチさんが同じようなポジションだったでしょうか。
松山ケンイチさんは、村上春樹の名作「ノルウエイの森」が映画化された際、主人公のワタナベ役を演じました。
個人的には、もし今リメイクするなら北村匠海さんで見てみたいです。
いっぽう「彼女」を演じたのは女優の黒島結菜さん。
じつは黒島さんのことは存じ上げなかったのですが、いい役者さんですね(何目線?)
北村さんとの共演は3回目だったそうで、どうりで息ぴったりでした。(家族でみるには気まずい場面あります)。
凛とした空気感というか透明感があって、でも近寄りがたいわけではない。
とってもいい女優さんを知りました。
2022年のNHK朝ドラ、ちむどんどんで主演するそうで、こんどはどんな演技をされるのか楽しみです。
まとめ
若者の物語なので、劇中に登場する歌やアーティストはまったくわかりませんでした。
そんな世代のわたしですが、映画を観ている間は完全に「あの頃」に戻ってました。
私の「あの頃」にはスマホも携帯もありませんでしたが、共感できるエピソードや台詞も多く、いまの人生は夢見たものと違うけれど、今できることをがんばってやっていこう、そんなふうに思わせてくれました。
ノスタルジーなんだけど、それだけじゃない。
未来が輝いていた「あの頃」を思い出して、切ないけれど、いまの自分を応援してくれる。
そんな素敵な2時間でした。
Amazonプライムビデオで観れます。毎月500円で映画漬けの日々を送ってます。
2022年4月10日追記
この作品にはアナザーストーリーが存在します。
いわゆるスピンオフ。
黒島結菜さん演じる「彼女」の視点でストーリーが進みというので、Amazonプライムで観ました。
が、現実を思い知らされました。
ネタバレになるので詳細は言いませんが、純愛だと思っていたのに、裏切られた気持ちです。
45分という短い映画ですので、もう少し黒島さんを観たい人にはおすすめですが、後味は悪いです。
思い出は美しいままがいいですね。