保険会社に就職したけど、仕事が単調でつまらない。
毎日、会社と自宅の往復ばかり。
メーカーや商社にいった友人は海外出張にいってて、正直うらやましい。
自分も海外でグローバルに活躍したい。
入社して数年、そんな願望をもっている人もいると思います。
はっきり言います。
保険会社のような非製造業から製造業への転職はおすすめしません。
なぜなら違いがあまりに大きいからです。
わたし自身、生命保険の社員から中堅の製造業に転職しました。
転職してからは、それまでは経験したことのない、保険会社には存在しなかった概念がたくさんありました。
正直、いまでも腑に落ちないところがあります。
その概念とは何なのか。
最後まで読んでもらえれば、転職後に製造業での仕事をイメージしてもらえるでしょう。
値段交渉
製造業には製造コストがかかります。
顧客へ提示する見積をつくる際には、製造コストに加えて、同業他社や市場の動向、為替など、さまざまな点を考慮して作成しなくてはなりません。
この値段をめぐって取引先と交渉します。
保険会社での営業に値段交渉、値引き設定はないので、粗利をたくさん載せて儲けよう、または値引きをして案件を勝ち取るという発想がなくて、転職した当初は苦労しました。
いまでも苦労してます。
その意味では、保険というのは、条件が同じなら保険料も同じ。明瞭です。
納期遅れ
これも保険会社にはない概念です。
受注した製品がいつ納品できるか。製造業の3つの柱、QCD( Quality=品質、Cost=値段、Delivery=納品)のひとつで、案件獲得のための重要なファクターです。
また、通常の受注においても、工場の稼働状況などによっては、決められた納期どおりに品物を出せない事態が発生することもあります。
一方、顧客にとって納期遅れは大問題で、簡単には受け入れてもらえません。
ここから、顧客と工場の間に挟まれながら、シビアな納期交渉がはじまるのです。
自分ではどうしようもないのですが、夜も眠れないほどのストレスに悩まされる場合もあります。
品質クレーム
品質不良によるクレームも製造業にはつきものです。
保険会社でいえば、クーリングオフがそれにあたるでしょうか? ただし品質クレームはそれよりも頻繁に起こります。
通常、品物が納品されると、顧客は納品場所で受入検査を行います。
全数を検査するのではなく、抜き取り方式で検査します。
不良品の数が決められた一定の数量(AQLといいます)を下回っていれば合格、それ以上であれば不合格となり、品物は返品されます。
返品になった品物は自社工場で検査して不良を取り除いたあと、不足した分を補充してふたたび納品します。
これらを顧客が指定した期日までに行う必要があります。
使えなければ在庫が廃棄するしかなく、コストがかかり、収益を圧迫します。
当然、営業も関係しますし、解決や謝罪に走り回ることになります。
ものづくり魂
製造業では「ものづくり」というワードがよく使われます。
ものづくり精神です。
正直、20代という吸収力の高い時期を無形商材にささげたわたしは、いまでも「ものづくり」精神をもっているとは自信をもって言えないです。
ものをつくるのが好き、この想いがなければ、製造業でずっとやっていくのは難しいかもしれません。
まとめ
製造業には、非製造業にはない概念がたくさんあります。
新卒で製造業に就職した人たちは、20代という若い時期に製造業の考え方、仕事の進め方を叩き込まれます。
しかし、中途で入ってきた人、とくに非製造業から転職してきた人にそのような概念はなく、しかも身につけるのも簡単ではありません。
若いうちに身についた考え方、仕事の概念を変えるのは、そうとう大変です。
保険会社のような非製造業から製造業への転職はハードルが高いです。
これまでの経験をいかした転職をおすすめします。